野球観戦での不思議な出会い

野球観戦での不思議な出会い

その野球チームのファンは、この街ではとても少数派でした。ある球団の本拠地でもあるこの街では、他のチームが試合に来る度に、ライトスタンドの外野席の一角に肩を寄せ合って、少数派のファン達は知らぬ者同士が言葉を交わし、一体となって応援をし続けてきました。

 

そんな外野席に毎月のように通っている私には、志を同じくする仲間が何人もいて、いつしか顔を見るだけで無言のうちに同じ場所へ座るようになっていました。

 

彼も、そんな同志の一人でした。

 

私よりずっと古株のファンで、チームの色々な情報を知っているだけでなく、応援団と言われる人達や、コアなファンの人達とも顔見知りの主のような人でした。

 

ある日たまたま座った席が隣同士になったことから意気投合し、試合後二人でこっそり飲みに行きました。会話をしてみると、彼とは野球以外の事でも意外と話しが合う人だと分かりました。その日のうちに連絡先を交換し、これからは一緒に観戦するだけでなく、プライベートでもお付き合いを始めることになりました。

 

彼と交際していることは、照れくさいので同志の皆には内緒でしたが、やがて勘の良い人に気づかれ、それからは皆の公認でのお付き合いが始まりました。まさか野球観戦が出会いのきっかけになるとは本当に驚きですが、お付き合いを始めて3年目の昨日、彼から「一生隣の席で応援してくれないか」とプロポーズも受け、これからは人生の指定席もずっと隣同士になりそうです。